漢方治療について

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世界の中で、日本の医師だけが、普通の現代薬と漢方薬の両方を処方できるということはご存知でしたか?中国、韓国、台湾では、普通の医師は現代薬しか処方できず、別の「中医師」や「韓医師」有資格者がいて、漢方薬のみ処方しています。一方、考え方や治療が一面的になりがちです。もちろん欧米では、漢方薬はほとんど知られていません。日本の医師だけが、両方の長所と短所を理解して処方できるのです。しかし漢方薬も活用している医師は多いとはいえません。

現代薬の考え方は、異なる人でも共通の原因と結果があり、治療法をふくめて一つの流れのように分析するものです。有効な成分だけをとりだして、必要とされるところに働きかけます。明快かつ合理的で大事な考えなのですが、複雑さや人による違いを見落としてしまうことがあります。他方、漢方薬は、一つの生薬(しょうやく)の一つの成分だけでつくられていません。数千年の歴史のなかで、多くの生薬を配分し、複雑な成分が一緒になって作用するように配合されてきました。複雑な成分が一緒になって、マイルドに働きかけます。そして心療内科では、漢方薬が有益な場合が少なくありません。

“心身(または身心)一如”という仏教の言葉がありますが、心の悩みと身体の症状は、切っても切り離せない関係にあります。学校にいけないお子さんが、朝にお腹が痛くなることもそうです。こころの病気であっても、頭痛や腹痛、動悸、めまい、食欲不振、その他の身体の症状があらわれることが少なくありません。たとえば脳腫瘍など、身体に問題がある場合は、早期に発見して対処しないといけません。しかし、内科等で原因がはっきりせず現代薬でも有効でないため、心療内科にいきなさいと言われて来られる方々もいます。こころに働きかけ、抗うつ薬を服用することで、なぜか症状がやわらぐことがあります。そして複雑な成分の漢方薬がより一層有効な場合があります。そして現代薬と比べ、依存性が少ないという利点もあります。

院長は東洋医学会に参加し、各種研究会で研鑽を積んできて、現在の日本の保険診療で認められた漢方薬の粉薬や丸薬も処方しています。漢方の考えは、この病気にはこの薬と決めるものではなく、その人のそのときの状態に合ったお薬があるというものです。ただし、現在の保険診療で認められた漢方製剤を処方することで、ある程度の共通性をもたせています。もちろん、最初にお伝えしたように、漢方薬にも短所、限界があります。病気を漢方薬だけで治すという考え方はとりません。現代薬をメインに処方する考えは変わりませんが、有効な方法があれば学んでとりいれていこうとしています。ですから、漢方のみの治療を希望される方は、他の医師を紹介することがあります。

これらの点をご理解いただければと思います。